なぜ国産材を選ぶのか?
日本で育った木は、日本の風土に合っていて、
家をつくる材料として、性能的にも最も適していると考えています。
そして国産材を選ぶもう一つの理由は、
地球規模の環境問題の視点で考えた時に、
単純によいことであると考えているからです。
現在、日本の木材の自給率は、30%です。
日本は、国土の3分の2が森林です。
そのうち、スギやヒノキの人工林の割合が40%となっています。
多くが戦後に植林されたものであり、
今、木材として本格利用が可能になる50年以上(高齢級)が6割になるといわれています。
人工林は、人の手によって、植林、間伐などの手入れをしながら、
育成、伐採が行われることで、林業として成り立ち、山を守ることにつながっています。
このサイクルが崩れることで、山は荒廃し、近年問題となっている土砂災害などの要因となってしまいます。
木は、一年ごとに年輪を増やし、大きくなりますが、
現在、その増える量だけで、日本の年間木材需要量をほぼまかなえると言われています。
それぐらい、今の日本は森林資源が豊かで、また、それを積極的に使うことで、
林業が成り立ち、山が守られるということにつながるのです。
それに比べ、輸入材には、原生林などを伐採しているものも多く、
原産国では、森林伐採による環境問題が起きています。
多くのエネルギーを要して、遠い国から木材を運び、使用する利点はなんでしょう。
それは、価格の問題でしょうか?
現在、代表的な輸入材である「ホワイトウッドなどの集成材」や「米栂」と、
国産のスギの価格は、ほとんど同じです。
しかし、国産材は、品質のバラツキが大きく、同一品質材の安定供給が難しい、
外国のように平坦な土地ではなく、急峻な山で育った木は、癖があって扱いが難しい、
などの価格以外の要因もあるようです。
これらのマイナス条件をクリアするためには、
設計者を含めた現場の人間の材料を見る目、使う技能が求められるでしょう。
その「現場の人間の力量」を前提として、
消費者が、環境問題、林業の問題に意識を持ち、積極的に「国産材」を使おうとすることによって、
林業問題をはじめとするさまざまな問題が、改善の方向に向かうのではないかと考えています。
ご賛同いただけると嬉しいです。
私は何より、スギやヒノキの針葉樹ならではの、やさしく、すがすがしい風合いが、理屈抜きに好きです。
経年の変化で、飴色につやを増すのもよいです。
ご希望あれば、実例にあげてある住宅を見学することも可能です。
是非、その空間を体感していただければと思います。